UQ mobileはなぜ速いのか?

UQ mobileは格安SIM(MVNO)の中でも通信速度が速いこと、特に平日昼休み時間帯などでも通信速度が低下しにくいことで評判ですが、そもそもなぜ速いのでしょうか?

UQ mobileはauのサブブランドとして扱われており、UQ mobileのサービスを提供しているUQコミュニケーションズ株式会社(UQ Communications Inc.)はKDDIの子会社(連結子会社)です。ただし完全子会社(KDDIが100%の株式を有する)ではありませんし、上場会社でもありません。

au系の回線を提供するMVNO各社(UQ mobile、 mineo(株式会社ケイ・オプティコム)、IIJmio(株式会社インターネットイニシアティブ))はKDDIの回線と相互接続しているわけですが、UQ mobileのユーザー層(トラフィックの傾向)が他社と大幅に異なることも考えづらいので、通信速度が速いということは、他社よりもユーザー数にしては広帯域で相互接続できていることを意味します。相互接続料は月額で960,541円(L2接続10Mbps,税抜き,2016年度)であり、無駄に広帯域で接続することはできないはずです。でも現在の状況から、他社には真似できない広帯域で接続できているのではと考えられます。なぜ、そんなことが可能なのでしょうか?

以下、根拠のない完全な憶測となりますが、まずUQコミュニケーションズはKDDIからau 4G LTE回線を借りるだけでなく、KDDIに対してWiMAX 2+(TDD LTE)回線を貸す立場にもあります。WiMAX 2+(TDD LTE)回線のL2相互接続料は公開されていないためわからないものの、ユーザー数・トラフィック量はWiMAX 2+(TDD LTE)よりもau 4G LTEの方が多いはずであり、前述のau 4G LTEの相互接続料よりは高額なはずです。ちなみに直接の参考にはならないもの、旧ワイモバイル(現在はソフトバンクモバイル)の相互接続料を調べたら月額490万円(L2接続10Mbps,税抜き,2015年度)でした。

UQコミュニケーションズはKDDIの連結子会社であり、au 4G LTEの回線とWiMAX 2+(TDD LTE)の回線は一体運用されているのではないか、と考えます。すなわち各相互接続点では、KDDI契約ユーザーのWiMAX 2+(TDD LTE)トラフィックとUQ契約ユーザーのau 4G LTEトラフィックの両方が流れているのではないか、と。

具体的に言うと、こんなことです。計算を簡単にするため、例えば、au 4G LTE(KDDI)の相互接続料が10Mbpsで月額100万円、WiMAX 2+(TDD LTE)(UQ)の相互接続料が月額400万円であると仮定します。そして、KDDIとUQの相互接続点に50Mbpsの接続帯域を有する装置を設置するとします。そして50Mbpsのうち、10MbpsについてはKDDIがUQに相互接続する形とし、残り40MbpsについてはUQがKDDIに相互接続する形にします。こうすると、KDDIは10Mbps分について月額400万円を支出する一方で40Mbps分で月額400万円の収入となり、支出と収入が相殺してゼロとなります。UQについても同様で、10Mbps分について月額400万円の収入を得る一方で40Mbps分で月額400万円を支出することとなり、収入と支出が相殺してゼロとなります。KDDIにとってもUQにとっても、相互接続料の費用負担実質ゼロ円で相互接続できることになります。

本来でしたら、KDDIがUQに相互接続する形をとっている10Mbps分については、KDDI契約ユーザー分のWiMAX 2+(TDD LTE)関連トラフィックのみを流し、UQがKDDIに相互接続する形をとっている40Mbps分については、UQ契約ユーザー分のau 4G LTE関連トラフィックのみを流すべきなのかもしれませんが、実際には一体運用されており、10Mbps分と40Mbps分のどちらにもKDDI契約ユーザーのWiMAX 2+(TDD LTE)関連トラフィックとUQ契約ユーザーのau 4G LTE関連トラフィックの両方が流れているのではないか、と。相互接続料は2社のネットワークをつなぐための接続料にすぎず、このような一体運用をしても何ら問題ないのではか、と。

相互接続点の接続帯域が10Gbpsだろうが100Gbpsだろうが、双方の相互接続料の比率に応じて接続帯域を按分し、按分した各々の接続帯域について双方が相互接続料を支出しながら収入として得る形にすれば、双方の経営に影響を与えることなく一体運用できるし、KDDIがUQだけ特別扱いしていることにもならない(UQからは所定の相互接続料を収入として得ている)ので、コンプライアンスその他何ら問題ないのではないか、と。

まとめると、UQは相互接続料を支出するだけでなく収入として得ており、相互接続点をKDDIと一体運用することで、他社には真似できない広帯域で相互接続できているのではないか、という結論(根拠のない完全な憶測)になります。

なお最近は、平日昼休み時間帯の通信速度が10Mbps程度になることが多いですが、これは同業他社およびKDDIに対する配慮から、意図的に帯域制限をかけていることによるものではないかと思います。KDDI契約ユーザと通信速度がまったく同等になってしまったら、KDDI契約ユーザーの減少を招きかねないからです。

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