RTX830レビュー

RTX830を購入しました。

RTX830を購入し、自宅のルータをFWX120からRTX830に入れ替えました。購入するに至った経緯、RTX830のレビュー、FWX120からRTX830へのconfig移行(移し替え)作業、そしてスピードテスト結果などをまとめます。

■FWX120からRTX830へ
2014年にFWX120を購入し、使ってきました。それまで使っていたバッファローのVPNルーターのBHR-4GRV(BHR-4GRV2だったかも)と比べると、動作の安定性、自分で細かく設定できる柔軟性、等々文句なしだったものの、唯一の不満点は「DS-Lite経由通信時の最高速度が300Mbps程度で頭打ちになってしまう」ことでした。なお、使っているインターネット回線はIIJmioひかりで、IPoEオプションの契約ありです。当初は270Mbps程度で頭打ちだったのがルーターconfigのチューンアップで300Mbps程度まで出るようになったものの、IPv6通信でのスピードテストで500Mbpsから600Mbps程度出せていることを考えると、ルーターの処理能力の限界が原因で通信速度が頭打ちになっていることは明らかであり、「いつかは後継機に入れ替えたい」と考え続けていました。

なお2014年に購入する際になぜRTX810ではなくFWX120を購入したかというと、RTX810とFWX120のスペックを比較すると、RTX810はメインメモリ(RAM)の容量が128MBなのに対してFWX120は256MBとなっている、NATセッション数がRTX810では10000なのに対しFWX120では32000となっている、等々スペックでFWX120の方が上回っていたからです。FWX120はヤマハの製品分類としてはルーターではなくファイアウォールですが、購入したFWX120はファイアウォールではなくルーターとして使い続けてきました。

以上のようにRTX810の代わりにFWX120を購入したこともあり、自分にとっての後継機とはFWX120の後継機ではなくRTX810の後継機、すなわちRTX830でした。そんなこともあって、2017年6月にRTX810の後継機がコード名X17として発表され、2017年9月に正式にRTX830の型番と発売日が発表されて以来、ずっとその動向を追い続けてきました。

■RTX830を購入するに至った経緯
RTX830が発売されたのは2017年10月末です。NTT-X Storeでの販売価格は52千円あたりからスタートしました。自分の昔からのポリシーで「初期不良を避けるため、工業製品は発売されてから最低でも3ヵ月経過してから買う」ことにしていたのですが、12月中旬に価格をチェックしたところ、48千円台に値下がりしており、併売されているRTX810の価格が41千円台なのを見て、「RTX830の販売価格は今後間違いなく値下げされるけれども、今の価格で買った後に仮に値下げされたとしても、心理的ダメージは許容範囲内であろう」との判断から、3ヵ月経過を待たずに買うことにしました。発売したての工業製品で怖いのはハードウェアの初期不良とソフトウェアの初期不良ですが、ハードウェアの初期不良については「ハードウェア的にはNVR510・NVR700Wを改良・スペックアップしたような内容で、ゼロからの新設計というわけではないであろう」との推測から「たぶん大丈夫であろう」と判断し、ソフトウェアの初期不良についても同様に「たぶん大丈夫であるだろうし、今後のファームウェアのリビジョンアップに期待」と判断しました。

■開封の儀
注文したRTX830が届いたので、さっそく開封します。

RTX830本体、付属品は「はじめにお読みください」の冊子、AC100V用電源コード、(写真には写っていませんが)電源コード抜け防止金具です。FWX120ではCD-ROMが付属していたことを考えると、非常にシンプルですが、マニュアル類はアップデートで内容が随時改訂されるものでありネット上で最新版を見られれば充分ですし、これで問題ないでしょう。

RTX830の正面です。RTX810とは違って、LANポートは背面ではなく前面にあります。RTX830を手にした時の第一印象は「金属筐体にブルーが映えてすごく美しい」でした。FWX120の赤のプラスチック筐体でも安っぽい印象は受けなかったものの、金属筐体の独特の質感にはかなわないと感じました。その他嬉しく感じたのでは、(1)放熱用のスリット溝がないので、ホコリ侵入の心配をする必要がなくなった、(2)電源プラグが本体に直付けではなくメガネ型プラグで差し込むタイプになっているので、直付け時にあった「電源プラグの根元を痛めて断線させないように細心の注意を払う」必要がなくなった、です。電源プラグが直付けでなくなったのは、対応電源が従来のAC100V専用からAC100~240V(50/60Hz)対応になったことに伴うものです。

■USBシリアルによるコンソール接続
RTX830ではコンソール接続に従来のシリアルポート(D-sub9ピン、もしくはRJ-45)ではなくUSB Mini-B型(5ピン)が使えるようになっています。すなわちUSB Mini-B型(5ピン)のUSBケーブルを準備してパソコンと繋げればコンソール接続が可能なので、試してみました。

まずUSB Mini-B型(5ピン)のUSBケーブルですが、探したら出てきました。USB Mini-B型(5ピン)は最近では使うことが少なくなってきましたが、今後はRTX830とのシリアル接続に使うことが多くなりそうです。

まずヤマハのサイトからUSBシリアル用のデバイスドライバーをダウンロードし、インストールします。Window用のデバイスドライバーしか準備されていないようです。MacOSについては、対応していないのか、準備していないけれども実際には使えるのか、わかりません。

RTX830とパソコンをUSBケーブルで繋ぎ、Tera Termを立ち上げます。自分のパソコンではCOM3ポートがUSBシリアル用のポートになりました。

安価で入手も容易なUSBケーブルでコンソール接続できるというのは、非常にありがたいと感じました。

■config移行
FWX120からRTX830にconfigを移し替えます。FWX120とRTX830では使えるコマンドに違いがあるのですが、事前に双方のコマンドマニュアルを読み比べて、FWX120でしか使えないコマンド(大半が入力遮断フィルター関連)はすべてFWX120、RTX830のどちらでも使えるコマンドに書き換えておきました。そして、マニュアルを読んだ上で、以下の手順で移し替えることにしました。ひとことで言うと、「USBメモリにconfigをコピーし、そのUSBメモリに保存したconfigでRTX830を起動させる」です。

(1)FWX120にログインして「administrator」を実行して管理ユーザーになってから、ネットボランチDNSサーバーに登録されているホストアドレスを削除し、「save 0」でconfigを保存する。

(2)FWX120に事前にFATかFAT32でフォーマットしたUSBメモリを挿し、「copy config 0 usb1:config.txt」を実行してconfigをconfig.txtのファイル名で保存する。

(3)FWX120のUSBメモリそばのボタンを数秒間押し続けてランプが消えてからUSBメモリを取り外し、FWX120の電源を切る。

(4)FWX120を取り外し、RTX830を設置し、電源ケーブル・LANケーブルなどをすべてつなぐ。前述のUSBメモリを挿す。

(5)RTX830の電源を入れる。RTX830はUSBメモリに保存されたconfigで起動する。

(6)RTX830にログインし、「administrator」を実行し、管理ユーザーになる。

(7)RTX830上でネットボランチDNSサーバーにホストアドレスを登録する。ネットボランチDNS設定を含むconfig一式がUSBメモリのconfig.txtに自動保存される。

(8)RTX830上で「save 0」を実行し、configを本体内不揮発性メモリに保存する。

(9)RTX830のUSBメモリそばのボタンを数秒間押し続けてランプが消えてからUSBメモリを取り外す。

(10)RTX830上で「restart」を実行して再起動する。RTX830は本体内不揮発性メモリに保存されたconfigで再起動する。

■config移行後に気付いたこと
RTX830に保存されたconfigを確認したところ、以下の事項に気付きました。

(1)FWX120で使っていた「system led brightness 1」が移行されていない。

(2)FWX120で使っていたL2TP/IPsec用の「ip pp remote address pool 192.168.A.B-192.168.A.C」が移行されていない。

(1)については、「sysytem led brightness」コマンド自体がRTX830から削除されていました。調べてみたら、このコマンドが使えるのはNVR500、RTX1200、RTX810、FWX120の4機種だけのようです。まあなくて困る機能でもないので、別に問題ないですが。

(2)については、FWX120とRTX830のコマンドマニュアルを読み比べても特に書式が違っているわけでもなく理由がわからないので、ヤマハのサポートに問い合わせ中です。

(2018年05月27日追記)
上記(2)はRTX830のバグでした。このバグは2018年5月24日公開のファームウェア15.02.03で修正されています。リリースノート記載のバグ修正の41番です。

■ダッシュボードとLANマップ
ダッシュボードとLANマップの画面を張り付けておきます。ルーターの状況を視覚的に見られるのは面白いし、便利です。

■スピードテスト
スピードテストです。なお、使用しているインターネット回線はIIJmioひかり(IPoEオプション契約あり)です。まず、これまで使ってきたFWX120での最高速度記録の画面です。土曜日の朝6時台に計測しました。

FWX120での下り最高速度記録は、IPv4(PPPoE)は717Mbps、IPv4(DS-Lite)は317Mbpsでした。つづいて、RTX830での最初のスピードテストの記録です。土曜日の日中12時台に計測しました。

RTX830での下り速度は、IPv4(PPPoE)は211Mbps、IPv4(DS-Lite)は792Mbpsです。日中ということもありIPv4(PPPoE)での速度がいまひとつですが、IPv4(DS-Lite)については700Mbps超という、FWX120では到底達成できなかった速度を達成できました。

ルーターの高速化に関して、以下のような記事も書いているので、是非ご覧ください。

ヤマハルーターのconfigを見直したところ、通信速度が速くなりました。

■その他
(2018年5月27日追記)2018年5月24日公開の最新のファームウェア15.02.03から、MAP-E(v6プラス)に対応しました。@Nifty, BIGLOBE、So-netなどのv6プラスでもRTX830が使えるようになったわけで、待望のアップデートと言えます。

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