つみたてNISA Meetup in 東京(つみップ)に参加(2018年7月27日)

2018年7月27日に金融庁会議室で開催されたつみップに参加しました。

1.金融庁からの説明
2.運用会社からの説明
  大和証券投資信託委託
  ニッセイアセットマネジメント
  三菱UFJ国際投信
  バンガード・楽天投信投資顧問
3.質疑応答
  Q1.「なんでこんなに信託報酬の安い商品を持ってくるんだ!」と言われて苦労したことは?
  Q2.投資初心者が評価損ですぐに売却してしまうことを防ぐ対策は?
  Q3.自社以外で注目しているファンドは?
  Q4.差別化しにくいが、各社の戦略は?
  Q5.金融資産ゼロ世帯の定義について
  Q6.2014年を境にした資金流入の増減について
  Q7.投信直販について
  Q8.つみたてNISA対象ファンドの繰り上げ償還について
  Q9.金融庁からのツール提供について
4.毛流麦花の感想

1.金融庁からの説明
本日参加している40名の内訳について説明がありました。

・男女約半分で、回を重ねる毎に女性の方の参加が増えている。
・20代、30代の方が20名で半分。
・投資経験がない人(※)が半分以上。(※: 投資経験がない、あるけど3年未満、もしくは昔やっていたけど今はやっていない、のいずれかに属する人)

その後金融庁の方から、つみたてNISAについて説明がありました。
この部分については、割愛します。

2.運用会社からの説明
つづいて、運用会社から説明(プレゼン)がありました。今回のつみップに参加している運用会社は以下の通りです。

大和証券投資信託委託 山村氏
ニッセイアセットマネジメント 上原氏
三菱UFJ国際投信 代田氏
バンガード・インベストメンツ・ジャパン 塚本氏
楽天投信投資顧問 山田氏

(大和)
「ファンドを作っているものの、お客さんからは『どのファンドを買ったらいいのか、わからない』とのご質問をいただく。だからといって、『このファンドがいいですよ』とは回答できないので、弊社のファンドマネージャーに『もしも自分でつみたてNISAに投資するとした場合、どのファンドに投資しますか』の趣旨でアンケートをとってみた。ファンドマネージャーも若手が多いので、ご参考にしていただけると思う」

・商品選びで最も大切だと考えるのは、投資対象市場。
・投資するカテゴリーは、インデックス投信・海外株式型が一番多い。次いでインデックス投信・国内株式型。
・つみたて頻度は毎月がほとんど、つみたて金額は2万円~3万円と必ずしも上限の3万円だけではない。
・売却タイミングについては、運用を生業とする者なので「十分に値上がりした時」が最も多いが、「非課税運用期間の終了間近」や「ライフイベントなどでお金が必要になった時」も多い。総称すると、長期投資であれば相場のタイミングはさほど気にしなくていい、ということなのではと思う。
・投資商品については、「iFree S&P500インデックス」が最も多い。次いで「iFree 新興国株式インデックス」である。

(ニッセイ)
・6月29日付でなしなしシリーズ(<購入・換金手数料なし>シリーズ)の信託報酬の引き下げを発表した。
・2013年にシリーズを立ち上げ、中核の外国株式インデックファンドは950億円に達しており、4桁の大台も近づいてきた。

(三菱UFJ国際投信)
「つみたてNISA」1万人認知度調査について
・つみたてNISAの認知度調査を毎月ネットで行っており、それによると、つみたてNISAの認知度は2018年6月時点で約26%。
・つみたてNISAおよび投資信託のどちらも知らない層が全体の約60%。金融リテラシーが高いと考えられるネットでの調査でこれなので、実際の認知度はもっと低いと考えられる。
・男性は年齢によって認知度に大きな違いがないのに対し、女性は若い層は認知度が低く、年齢が上がるにつれて認知度が上がっていっている。この調査結果をふまえると、本日のつみップに若い女性がたくさん来ているのは、とても良いことだと思う。
・認知度を都道府県単位で見ると、最も認知度が高いのは東京都で30.5%。逆に最も認知度が低いのは、九州のとある県で16.1%。金融庁さんも地方での認知度向上を考えられているのかなと思う。

「ノーロード・インデックスファンドの足下の状況」について
・弊社以外の運用会社を含めた業界全体で、ノーロードインデックスファンドの残高は、2018年6月末時点で9822億円に達しており、まもなく1兆円の大台にのる。
・残高の増加スピードはこれまで年20%だったが、今年に入って倍になっている。インデックス投資家の方が増え、つみたての普及という点でいいことも思う。
・資金流入額を見ると、2013年までは年200億円程度流入していたが、2014年になって、NISAがスタートしたこと、新しいインデックスファンドが投入されたこともあり、流入額が大幅に増加した。2014年から2017年の間の最高は、2015年の約1700億円。2018年になるとさらに増加し、6月時点で既に1800億円に達している。アメリカで年金制度の改革が投資を後押ししたのと似たような状況が起こりつつあるのではと考えられる。
・eMAXIS Slim設定以降のノーロードインデックスファンドへの資金流入を資産別に見ると、MSCIコクサイが26%、米国株式が14%、と約4割が先進国株式で占められている。
・eMAXIS Slimの資金流入を資産別に見ると、44%が先進国株式で占められているのに対し、つみたてんとうはTOPIXで37%、日経平均で12%、と約半数が国内株式で占められている。ネット主体と対面販売主体の違いがあらわれている。

(バンガード・楽天投信)
・楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)は全世界の時価総額の約98%をカバーしている。
・楽天・全米株式インデックス・ファンド(楽天VTI)は米国株式の時価総額のほぼ100%をカバーしている。
・ウォーレン・バフェット氏が推奨していることでも有名なS&P500は米国株式の時価総額の約80%をカバーしている。
・バンガードはS&P500のETF(VOO)も持っているので、楽天バンガードシリーズにそれを持ってくることも検討したが、できるだけコストをかけたくないこと、S&P500のライセンス料が高いこと、などの理由から、VTIの方を持ってきた。

3.質疑応答
Q1.信託報酬の低い商品を売ってもらうために販売会社に説明した時に、「なんでこんなに安い商品を持ってくるんだ!」みたいなことを言われて苦労したことはあるか?
A1.
(大和)
販売会社さんとしては対面販売のための手数料を確保したいというのはあるので、その範囲でギリギリを狙っている。もちろん、他社さんが信託報酬を下げたら対抗したいという気持ちもある。
(ニッセイ)
今回で4回目で、販売会社さんからすれば「またか」というのはあると思う。個人投資家のために何ができるかということを考えて実現していることでもある。ご購入いただいた結果残高が増えたことに伴う収益は投資家とわかちあうという考えであり、販売会社に賛同いただいている。
(三菱UFJ国際)
信託報酬を下げるということはストックの収益が下がるということである。商品を販売会社に説明する際に「この商品は今後信託報酬が下がりうる商品である」ということを説明し、賛同いただけない場合は却下してもらっている。

Q2.つみたてNISAで初めて投資を始めた人たちは、評価損が出たら売却してしまう可能性があるが、そうした事態を防ぐために、運用会社が販売会社と協力して何かする、ということはあるか?
A2.
(三菱UFJ国際)
中長期でつみたてすることでリスクが減るわけではないものの、リターンが一定値に近づいていくわけであり、その機会を売却で放棄するのはもったいないことである。ブロガーさんがよく体験記に「投資を初めてこれだけ損をしたけど、中長期で続けてこれだけの収益になった」と書くけれども、そうした体験談を共有することが大事なのではと思う。
(バンガード)
お客様には「投資はタイミングをとらずに継続すること、お金が必要になったら定率で取り崩してください」という話をしている。それでも2008年のリーマンショックのように株価が50%以上も下落し、「この世は破滅だ」みたいな状況になると、どうしても売却してしまいたくなるお客様が出てくる。バンガードのアメリカの直販口座では、実際にリーマンショックの際に対策として、オンラインで売却しようとするとポップアップが出てきて「売ると、これだけ損しますよ」と警告を出したり、電子メールで周知を徹底することで、2008年も資金流入プラスを維持した。
(山崎元氏)
「安くなったから、たくさんの口数を買える」は本質的でない。「長期で買うとばらつくからリスクが減る」という説明も不正確。100で買ったものが90になった人に言うべきは、その90になったものをどうしたらいいのかということ。その時に考えるべきは、期待リターンと非課税枠。売却で非課税枠を捨ててしまうのはもったいないことである。
(ニッセイ)
価格の動きに一喜一憂しない。価格が大きく下がったときにはガッツポーズ。ばれるのでニヤニヤしてもいけない。
(大和)
新人時代に株式のるいとう(累積投資)をやっていた時に上司に言われたのは、「つみたてをやっておけ。でないと、使ってしまってお金が残らないぞ」実際にやってみて、たしかにその通りだと実感し、耐えられるようになった。

Q3.つみたてNISAを始めたばかりで、どの投信にしたらいいのか迷っている。自社以外の投信でどのファンドに注目しているのかを教えてほしい。
A3.
(大和)
全世界株式だと思う。
(ニッセイ)
心穏やかではないものの値動きが大きいもの、株式だと思う。
(三菱UFJ国際)
海外株式と国内株式を一定の割合でもつことと思う。
(楽天投信)
海外株式と国内株式、株式と債券を持つことと思う。
(バンガード)
個人的見解だが、ニッセイさんとeMAXISさんがコスト競争を繰り広げていて、注目している。

Q4.低コストノーロードインデックスファンドは差別化が難しいと思うが、各社の戦略は?
A4.
(大和)
まずは投資に入ってきて、その上で、他の商品にも目を向けてもらいたい。
(ニッセイ)
SNS、ユーチューブ他で見ていただける機会を作っているのでよろしくお願いします。
(三菱UFJ国際)
eMAXIS Slimのターゲットは30歳代~40歳代の現役世代でネットのみとしている。約6割の知らない世代にどのようにアピールしていくかが勝負だと考えている。
(楽天投信)
楽天バンガードシリーズの動画を作っており、今後もそうしたコンテンツの充実をはかっていきたい。
(金融庁からの補足)
つみたてNISA対象商品の信託報酬は上限があるが、すべてが上限に張り付いているわけではなく、上限ぎりぎりなもの、およびコスト競争でずっと低いもの、と二極化している。

Q5.金融資産ゼロ世帯の定義は「給与振り込みで入ってくるお金しかない世帯」とのことだが、お年寄りの場合は「年金しか振り込まれていない世帯」ということでよいのか?
A5.その通り。年金振込口座しか持っておらず、投資信託も国債も保険も持っていない世帯、ということになる。

Q6.三菱UFJ国際投信の説明で2014年をNISA導入を境にノーロードインデックスファンドへの資金流入が大幅に増加したとのことだが、一方で日銀の統計の集計ミスで2014年を境に投資信託全体の金額が下がっているという報道がなされている。これについて金融庁はどのようにとらえているか? 個人的には、低コストのインデックスファンドが伸びる一方で、高コストのぼったくりファンドに投資していた人たちが気付いて解約し、現金で保有しているからなのでは、と考えている。
A6.金融庁としては検証できておらず、今後検証していきたい。

Q7.三菱UFJ国際投信の話で「ここまでコスト競争が進むと、直販も検討せざるを得ない」という話があったが、ちょっとでも直販を考えている運用会社さんがおられたら、挙手をお願いしたい。
A7.
(大和証券投資信託委託、ニッセイアセットマネジメント、三菱UFJ国際投信の方が挙手。意外?にも、バンガード・インベストメンツ・ジャパンの方は挙手せず)
「一時期、バンガードが日本で直販を検討という報道がなされていたが?」→(バンガード)「報道の中身を見ていただくとわかるかと思いますが、そのようなことは言っていないという理解です」

Q8.最近、今日ここには来られていない運用会社さんの、比較的低コストのインデックスファンドが繰り上げ償還されるということがあったが、つみたてNISA対象ファンドは20年間繰り上げ償還されないものなのか、それとも繰り上げ償還される可能性はあるものなのか?
A8.
(金融庁)
契約上は20年間になっているが、やむを得ない事態、例えば日本から撤退するとか破綻したとか等になるリスクは残っている。そうした場合、投資家救済のために投資信託の併合(株の合併みたいなもの)ができないかどうかを協会で検討してもらっている。

Q9.金融庁として、リスク・リターンを計算するツールとか、ポートフォリオを組むためのツールの提供を検討しているか?
A9.金融庁として、特定のポートフォリオを推奨するのは難しい。ただ、ポートフォリオを組む前提として許容リスク量を把握する必要があるが、ほとんどの人は許容リスク量の計算ができない。計算できないけどポートフォリオを組まないといけない、ということは知っている。そうしたことから、自分がどの程度のリスク量を持っているのかを簡単に把握するためのツールの提供を検討している。

4.毛流麦花の感想
会議室を一望して感じたのが「若い世代が多い! 女性も多い!」です。とてもよいことで、この流れがもっと加速していったらいいなと思います。

楽天バンガードシリーズで、全米株式にVOOではなくVTIを持ってきたのはS&P500のライセンス料が高いから、という話を聞いて、なるほどと思いました。S&P500は数ある指数の中で歴史と実績がありますし、ウォーレン・バフェット氏も推奨している等、ブランド化しているという点も否めないと思います。インデックスファンドのパフォーマンスに影響する指数のライセンス料の引き下げを図ってくことはリターン増大化のために重要であり、指数間の競争を加速するべく、さまざまな指数の登場に期待したいと思います。

と同時に、投資対象地域・資産クラスがほぼ同等の指数、要は似通った指数が複数あった場合、指数自体のパフォーマンスだけでなく、指数のライセンス料を含む各種手数料を差し引いた状態でのパフォーマンス、投資信託であれば基準価額の値動きが示すパフォーマンスの重要性をあらためて認識しました。

懇親会でもいろいろと話を聞けてとにかく楽しく、とても充実した時間を過ごすことができました。

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