ライセンスフリーなインデックスが欲しい

2018年3月27日に開催された三菱UFJ国際投信のブロガーミーティングに参加してきました。

このブロガーミーティングの詳細については、他のブロガーさんが書かれたレポートを見ていただくこととして、本記事では、ブロガーミーティングに参加して感じた「ライセンスフリーなインデックス」について記します。

■ブロガーミーティングで特に気になった内容
(1)eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)の合成指数(TOPIX、MSCIコクサイ、MSCIエマージングの合成指数)
(2)イボットソンさんの資料の下記ページ(ブログ掲載OKとのことでアップさせていただきます。感謝。)

インデックスの使い方に無理がある、というか既存のインデックスは運用会社・投資家が求めているものから乖離しているのでは?と感じました。

■そもそもインデックスとは?
毛流麦花が思うに、インデックスのあり方が変わってしまったように思います。元々は市場全体を代表する指標として算定されていたはずが、市場全体に投資するためのツールになり、そして、eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)にいたっては合成指数という、なんともスマートでない使い方をされています。(eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)がダメという意味ではありません。)

インデックスはマーケットをとらえるためのツールではなく、十人十色なポートフォリオで資産運用するためのツールになっています。であるなら、既存のインデックスを組み合わせて(合成して)使うのではなく、ポートフォリオが十人十色であるなら、インデックスも個別にオーダーメイドのものを使うべきではないでしょうか?

ポートフォリオ毎にファンド(ベビーファンド)を作るとして、マザーファンドにはベースになる指数のファンド、というイメージです。

■ライセンスフリーなインデックスが欲しい。
ベビーファンドにしてもマザーファンドにしても、オーダーメイドのインデックスを使うのであれば、既存のインデックスベンダーに頼らず、運用会社・投資家の知見・技術を迅速かつ自由に反映できるよう、自前でインデックスを策定するべきです。

自前でインデックスを策定するのであれば、1社だけでやるのではなく、何らかのコミュニティを立ち上げるとか、日米の運用会社が共同でインデックスベンダーに対抗していく形で組織を立ち上げるとかの方法で、ライセンスフリーなインデックスを作り、多くの運用会社・投資家が使えるものにした方が得策です。1社だけで閉じてしまったインデックスは普及せず、結果として新しい知見・技術が集まらず、早々に廃れてしまうことでしょう。

イメージで言うと、有償のWindowsに対して、LinuxやAndroidが無償であるみたいに、ライセンスフリーなインデックス、要はライセンス料(利用料)が無料のインデックスです。

目標は、インデックスの業界標準・国際標準です。インデックスベンダーに牛耳られてしまったインデックスを運用会社・投資家の手に取り戻す、いわばインデックスの民主化です。

■ライセンスフリーなインデックスに期待できること
(1)リターンへの寄与
既存のインデックスのライセンス料については「有料らしい」ことくらいしか知らないものの、ライセンス料無料のインデックスができれば、確実にリターンに効いてくるはずです。

(2)技術革新の土壌
インデックスを運用会社や投資家が自由に論じ、一緒になって作っていくことで、今後も出てくるであろう金融に関する新しい潮流、テクノロジーを取り込みやすくなることが期待できます。そうしたものが生まれてくる土壌の役割をライセンスフリーなインデックスが果たせるはずです。

コンピューターの世界では、ライセンスフリーなソフトウェアやオープンなコミュニティが技術革新に果たした役割は大きく、そうした流れを投資運用の世界にもたらすことで、投資運用の世界はもっと進化するはずであると考えています。

インデックスベンダーの呪縛から解放されることで、インデックス運用はもっと進化できるはずです。

(3)インデックス運用の互換性向上
昨年12月のつみップで「低コストインデックスファンドにMSCI ACWI(含 日本)がないのはなぜ?」という質問があり、「MSCI Japanのファンドがないから(TOPIXのファンドはあるけど)」という回答がありました。

そもそもひとつの株式市場に対して、TOPIX、MSCI Japanとお互いに互換性(相互に入れ替え可能)のないファンドが乱立していること自体がおかしい。同じ株式市場に対して、同種類(例えば時価総額加重平均型株価指数)であれば、それらのファンドは互換性を持たせるべきです。そして、インデックスは運用途中での入れ替え(銘柄にとどまらず、計算式その他インデックスに関わる要素すべて)を考慮して設計するべきです。

インデックスベンダー任せでは、インデックスの互換性確保などできるはずがありません。どのインデックスベンダーも当然自社製インデックスに囲い込む戦略を取るしかありませんから。

運用途中でのファンドの合併・分割も考慮して設計するべきです。現在の仕組みでは、例えば日経平均株価が1万円割れしていた時に設定されたファンドと3万円台だった頃に設定されたファンドの合併を考えようとすると、「基準価額をどうやって計算したらよいのだろう」となってしまうことからも容易にわかるように、ファンドの合併・分割は困難です。でも、どちらのファンドも株式を保有しているにすぎず、解決策はあるはずと考えています。

金融に関する知見・技術は今後も進化していき、インデックス運用の手法も変化していくことでしょう。そうした変化が起こることを前提として、インデックスは設計されなければなりません。

(4)旧来のインデックスファンドのリニューアル促進
新しいインデックスを策定し、そのインデックスが運用会社・投資家の双方から支持されたことにより、新しいファンドを立ち上げることになったとします。一方で、旧来のインデックスで運用されているファンドも残っています。この旧来のファンドはどうするべきでしょうか?

現在の常識では、そのまま運用を続ける、もしくは繰り上げ償還するしかありませんが、インデックスの互換性という考え方が定着すれば、例えば旧来のインデックスと互換性のあるインデックスを策定し、旧来のファンドは互換インデックスでの運用に移行する、という方策が考えられます。

「互換性のあるインデックス」という表現を使いましたが、互換性には複数の段階が考えられます。構成銘柄はほぼ同じで、同じような値動き・リスク・リターンが期待されるといった互換性もあれば、構成銘柄はほとんど異なる、でも同じような値動き・リスク・リターンが期待される、さらに新しい知見が盛り込まれている、といった互換性も考えられます。

(5)フィデューシャリー・デューティーの観点から
インデックスファンドの要となるインデックスをインデックスベンダーに任せてしまって、金融機関なり運用会社は本当にフィデューシャリー・デューティー(顧客本位の業務運営に関する原則)を果たせるのだろうか?と思います。ファンドの要になる要素をインデックスベンダーに支配されてしまって、金融機関や運用会社はフィデューシャリー・デューティーを果たせるのでしょうか? インデックスの策定には運用会社や投資家が参画できるようにするべきなのではないでしょうか?

■ライセンスフリーなインデックスの課題
(1)運営をどうするのか?
ライセンスフリーなインデックスを策定できたとしても、ライセンスフリーなインデックスを維持・運営していくには資金が必要です。株価取得のためには証券取引所との接続が必要で、そのための費用が必要ですし、その他諸々の費用が必要になることでしょう。非営利組織として持続可能とするべく、方策を考える必要があります。

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