金融商品とプログラミング言語

東証IRフェスタ2018でFOLIOのブースを見ました。

FOLIOはスマホを使ってテーマ型投資ができるサービスで、非常に目新しさを感じました。この目新しさはどこから来ているのだろうと考えているうちに、金融商品をプログラミング言語に例えるとわかりやすいことに気付きました。

本題に入る前にプログラミング言語について、簡単に説明します。コンピューターのプログラミング言語は大別して、以下の2種類に分けられます。

低級言語(低水準言語): コンピューターのCPUなどハードウェアを直接コントロールできる言語。アセンブリ言語(アセンブラ)や機械語(マシン語)が代表格。コントロール対象のCPUなどのハードウェアの仕組みを理解していないとプログラムを書くのが困難。

高級言語(高水準言語): 人間が読んで理解しやすい文法でコンピュータをコントロールできる言語。C言語、BASIC、Pascal、Perlなど多数存在する。ハードウェアの仕組みをそれほど理解していなくてもプログラムを書くことが可能。高水準言語は、ハードウェアを上手に抽象化・隠蔽化するため、仕組みを理解しなくてもプログラムを書くことが可能、と言える。

低級言語と高級言語の使い分けは以下のようになります。

低級言語と高級言語の使い分け: 低級言語だけでソフトウェア・アプリを作成するのは大変手間を要するので、ソフトウェアの使用目的・用途にもよるが、高級言語でプログラミングするのが普通。ただし高級言語で書かれたプログラムそのままではコンピューター(CPU)は理解・実行できないので、コンピューターが理解できる低級言語に変換(翻訳)し、その変換されたプログラムをコンピューターは実行する。

既存の金融商品(株式、債券など)とFOLIOの違いを考えていると、低級言語と高級言語の違いにそっくりなことに気付きました。

株式や債券に投資するには株式や債券の仕組みを理解する必要がありますが、これはまさに「ハードウェアの仕組みがわからないとプログラムを書けない」低級言語の特徴そのままです。

一方FOLIOについては、投資対象が「テーマ」という形でわかりやすく抽象化されているため、株式の仕組みについてわからなくても投資することが可能です。これはまさに「ハードウェアの仕組みがわからなくてもプログラムを書ける」高級言語の特徴そのままです。

「テーマ」という形で抽象化された金融商品に投資しても、そのままでは最終の投資先にお金が流れていく投資行動にならず、「テーマ」で定められたルールに従ってFOLIO内部で適切な株式を選定し、そこにお金を流していく(投資する)流れも、高級言語で書かれたプログラムを低級言語に変換してコンピューターで実行する流れにそっくりです。

FOLIOの目新しさとは、「仕組みを理解しないと使うことができない」アセンブラのような株式・債券に対して、「仕組みを理解していなくても使うことができる」高級言語のような抽象化・隠蔽化に成功したことに由来するのではないでしょうか?

なおここまで隠蔽化という言葉を使いましたが、隠蔽化とは「複雑な仕組みがそのまま見えるとわかりにくくなので、わかりやすくすることを目的に複雑な仕組みを見えづらくすること」を意味します。「見られて都合の悪いものを隠す」という意味ではありません。

なお投資信託・ETFについては、株式や債券よりは高級言語寄りですが、株式や債券などの「ハードウェア」を隠蔽しきれていない点では、FOLIOよりも低級言語寄り、と考えられます。「テーマ」に投資するという点で似通っているFOLIOとテーマ型投資信託ですが、テーマ型投資信託がわかりやすさという点でFOLIOに見劣りするのは、こうしたことが理由だと考えられます。

One Tap BUYについては、投資対象が株式そのものであることが丸見えであるものの、「小口で買える」「金額で買えるので、指値注文などの仕組みを知らなくても取引できる」といった特徴で既存の株式取引のわかりにくさ・複雑さを上手に隠蔽化しており、既存の株式よりも高級言語寄りと考えられます。

多数の高級言語が存在するように、投資対象を抽象化・隠蔽化する方法も「テーマ型」に限らず多数考えられることでしょう。FOLIOやOne Tap BUYにとどまることなく、高級言語のような金融商品がさらに開発されれば、株式や債券などについて詳しくなくても上手く投資できるようになり、投資家の裾野が広がっていくきっかけになるのではないでしょうか?

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